【相続/Q27】【民法改正】配偶者居住権を取得する(させる)場合に注意することはありますか?
Question
配偶者居住権を取得する(させる)場合に注意することはありますか?
Answer
将来的に、配偶者が高齢になった場合や認知症になった場合に、介護施設や老人ホームに入所することを考えると、慎重な検討が必要になると思います。
配偶者が長期間居住することを前提に配偶者居住権を取得したにもかかわらず、高齢化した、認知症になったなどの事情の変化で、介護施設や老人ホームに入所せざるを得なくなった場合に、入所費用やその後の生活費をねん出しようと思っても、居住建物を売却して一時にまとまったお金を得ることができません。
また、配偶者居住権は第三者に売却することもできません(民法第1032条2項)。
その場合には
① 配偶者居住権を放棄することを条件に建物所有者から金銭の支払いを受ける。
② 建物所有者の承諾を得たうえで第三者に居住建物を賃貸して賃料収入を得る。
などの方法が考えられますが、
① の場合、建物所有者との合意が必要になります。配偶者と建物所有者の関係が悪ければ、合意するのは難しいでしょう。
② の場合、建物が老朽化していた場合に、そのままで借り手が見つかるか。
もしリフォーム工事が必要な場合に、建物所有者の承諾が得られるか(建物所有者に費用負担が発生します)。
などの問題もおこるのではないでしょうか。
以上のように、配偶者居住権は配偶者の居住環境の継続性を保護するうえで有用な反面、将来的なことを考えると制約となることもありえます。
長い将来のことをすべて想定しておくことは不可能ですが、配偶者居住権を取得する(させる)にあたっては慎重な検討が必要になると思います。